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ロマネスクめぐりについて
  (「ロマ」めぐりマニュアル付き)


  

フランスの中世ロマネスク教会をめぐり始めて、かれこれ10年くらいになります。
以前もっと古い、古代ローマ時代の遺跡めぐりをしていましたが、南仏に残る古代遺跡には限りがあって、ほぼ見尽くしてしまいました。
それで、最初はミシュラン・グリーンガイド(Michelin vert)に載っているような有名どころの中世ロマネスクをポツポツと訪れてみました。

そしてすぐに、ロマネスクの魅力に取り憑かれてしまいました。

ゴシックの大きくてハデで説教くさくて新しいものとは違い、10世紀~12世紀を中心としたロマネスクは、
教会もその装飾も、古くて、素朴で、時としてかわいらしく、そしてすごく奥が深い。
しかも古代ローマ文明の影響も大きくて、それまでのローマ遺跡好きな趣味とも相通じるものがありました。


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2012年春に、消化器の腫瘍が見つかって大手術をしました。
「ヘタしたらあと2~3年ですよ」と医者から言われました。
それをキッカケとして、人生観とかものの考え方とかが、自分でも大きく変わりました。
その中のひとつが、
言葉のアクロバットになんだか一種の「虚しさ」とか「疲れ」を感じるようになってしまったことです。
特にフランス現代思想とかポスト・モダンとかは、言葉は悪いですが、その「アクロバット」の最たるものです。
あれは肉体的にも精神的に若くないと続かないと思いました

しかも
思想には「流行」があるのです。ポストモダン思想なんてまさしくその典型ですね。
つい20~30年たつと、一部の例外を除いて、もう「
古い」と言われる。そして誰も見向きもしなくなる。
なんと空しいことでしょう。
(ただし、これはあくまでも個人的な感想に過ぎません。念のため)。

そういう観念とか言葉とかをあーだこーだと操作するだけではなく、
目に見えないものの世界だけではなく、
もっと具体的で確かなもの、長い時間をへても変わらないもの、
しかも、時の流れを手で触れて実感できるものに愛着を感じるようになってしまいました。

ロマネスクは、最初は単なる「趣味」でした。

しかし、それがどんどん高じてしまい、とうとう本格的にのめり込むようになってしまったのです。
今ではもうほとんど
ライフワーク化してしまいました。


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さて、中世のロマネスク教会(聖堂)は、とてもたくさんあります。
少し大きめな街にはたいていあるし、あちこちの村、森の中、山の上、谷の奥、いたるところにあると言っても過言ではありません。
もちろん聖堂全体が立派なロマネスクのものから、後の時代の改修改築などでその一部分だけがロマネスク時代のもの、そして廃墟になってしまっているものまで、実にさまざまです。


ゾディアック叢書(Zodiaque)に記載があるものは、比較的立派で見る価値のあるものが多い。
しかし、そこに載らないような小さなローカルなものを含めると、本当に
星の数ほどあります。
私が主に回っている南フランス地域だけでもそうなのです。
これがフランス全体、そしてドイツやイタリアやスペインなど、ヨーロッパ全体となると、いったいどれくらいあるのか、ちょっと想像できないくらいです。
それらをすべて見て回るには、
人生が何回あっても足りないことでしょう。

なので、私は今も述べたように、
南フランス限定で回っています。
なぜ南フランスなのか? 他にもすばらしいロマネスクがある地方はいっぱいあるではないか?(ブルゴーニュとかオーヴェルニュとかノルマンディーとか……)
答えは簡単、留学先が
たまたま南仏プロヴァンスだったからです。

他の地方も、有名どころは訪れますが
片っ端からすべてというのはとても無理です。
つまみ食い的に有名なものだけ訪れるならいいのですが、「片っ端からすべて」ということになると、
フランスの中だけだとしても、やはり地域をどこかに絞って回るしかない。
しかもその「絞り方」は、もはや個人的な理由によるしかない。
なので、チョー個人的な、たまたま偶然の理由から、南仏限定ということになりました。
  




★★★★以下、ロマネスクめぐりマニュアルです★★★★

1.事前準備(下調べ) 

これはあらゆることに言えるのですが、ロマネスク巡りにも、しっかりした事前調査・準備が不可欠です。

どこに何があるのか? 

例えば、「今年の夏はヴォークリューズ県を回ろう」などという感じで決めると、いったい
そのエリア内のどこに、どれくらい「ロマ」があるのか?
これが
「ロマ・ハンター」にとっての最初の問題となります。

しかしこれは日本語で手に入るロマネスク関連の書物だけではとてもカヴァーできません。
そこに紹介されているのは、ほんのごく一部に過ぎません。
フランス語で書かれた地域別の「ゾディアック叢書」(Zodiaque)には、それなりに紹介されていますが、やはり有名どころだけです。
なので、フランスで出版されている、
その地域のロマネスクを専門に扱った本を入手して調べなければなりません。
しかもできるだけたくさんの本を集めなければなりません。
そういう本が入手可能な県と、そうでない県もあります。
品切れ絶版のものは、
古書をインターネットで入手するようにします。
インターネットで各地域のロマネスクを紹介したサイトもチェックする必要があります。

そうやって得た情報を、白黒コピーしたミシュランのローカル地図に、色つき(例えば黄色の)マーカーでチェックしていきます。
「ロマ」があるコミューンの名前を、片っ端から黄色で塗っていくのです。
そうするとA3のコピー地図が、黄色のマーカーで埋められていきます。すごい数になります。
ピレネー東部なんて、気が遠くなるほど地図が真っ黄色になりました(笑)。

 
真っ黄色の地図(左)と、全部赤に変わった地図(右)

ちなみに、なぜ「黄色」マーカーかと言うと、実際に行った所は、その上から今度は「赤」マーカーで上塗りしていくわけです。
行ったところとまだ行っていないところが一目瞭然で分かります。
行けば行くほど、地図が黄色一色から赤一色に変わっていきます。


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さて、行くべきところのチェックが出来たとします。
しかしそれで終わりではありません。
ここからがいよいよ大変なのです。

例えばA村というところに、ロマネスクのB教会があるのが事前に分かったとします。
しかしA村に行けば、すぐにそのB教会が見つかるとは限りません。
もちろん教会なので、たいていは塔や鐘楼が建っており、それを目印にすればいいのですが、それはその教会が村の中にある場合だけです。
困ったことに、教会がその村の中にあるとは限らないのです。

そうなるとやっかいです。

現地に行って探せばいいというような生易しいものではありません。
現地の村に行っても皆目分からないということがしばしば起こります。
しかも観光地でも何でもない片田舎の村には、地図とか案内板などはありません。
現地にいる
村人に聞いても分からないことさえ多いのです。
村はずれの林の中とか、谷の奥とか、山の上なんかにあったら、その場で探すなどということはほぼ不可能になります。

以前はそれでも現地に行ってみないと分からないので、「当たって砕けろ式」で探しました。
そして結局見つからずにあきらめたことも少なくありませんでした。

フランスのガイドやロマネスクの解説本などは、その聖堂が正確にはどこにあって、どうやればそこにたどり着けるのか、と言うことに関して、
きわめて不親切・無頓着だと言わざるを得ません。良くてもせいぜい「A村の西にある」くらいしか書かれていない。
実際にそこを訪れてみようという人の気持ちは
全然考慮されていません。困ったものです。


さて、最近は、それに比べて便利な世の中になりました。強力な秘密兵器が登場したのです。
それは
「グーグル・アース」のサテライト地図です。
それで調べれば、かなりの教会が、たとえ片田舎の村はずれのものであろうが、山の奥であろうが、ある程度目星を付けて前もって見つかるようになりました。
衛星地図で、キリスト教の教会の形も、慣れれば容易に見分けがつきます。
グーグルの衛星地図をにらみながら「うーん、どこにあるのかな~~、どれが教会かな~~」と目をこらす時は、
まるで医者がレントゲンやCT画像を見て
小さなガン細胞を探し出すような気分ですね(笑)。

これを印刷したり画像保存したりして現地に持参すればいいわけです。
しかも、さらに最近は「
ストリート・ビュー」なるものまであります。田舎であっても、ちょっとした道路ならこれで目当ての教会を見つけることが出来ます。
こうして、片田舎の「ロマ」探しは、グーグルのお陰で飛躍的に容易になりました。

それでもやはり、依然として場所が分からないものもあります。
グーグルの衛星写真やストリートビューでも発見できないのです。
これは
「廃墟系」のロマネスクに多いです。
グーグルの衛星写真の解像度が低いものしか見れないエリアや、ストリートビューのない道路は、「ロマ」探しは難しくなります。

グーグル・アースでも分からないものは廃墟系に多い。

最終的に事前に分からないものは、結局、現地に行ってみて探すということになります。

教会・聖堂の場所をチェックしたあとは、それらについての資料・解説文・予備知識を集める作業が続きます。
最近はそれらのデータ類の多くは、
デジタル化して(JPEGやPDF)、ノートパソコンやタブレットに入れて現地に持参します。
ひと昔前は、それらはコピーして、そのコピー用紙の分厚くて重たい束を持って行ったものですが、これも時代の進歩を実感します。

それぞれの教会の位置を調べた地図だけは、タブレットとは別に、紙に印刷したものも持参します。
運転しながら見るには、やはり紙の地図の方が、自分には便利です。

 2.時期

「ロマ」めぐりにはいつ行くのがいいか?

これは人によってそれぞれ変わると思いますが、自分的には3月の春休みの時期が一番いいと思います。
ただし、標高の高い場所、高地などは
雪が降るのでアクセスできないこともあります。
なので、
標高の高い場所をめぐるのは夏になります。

しかし夏の南仏は、バカンス客であちこち混み合います。とりわけ山や谷、渓流系などは、バカンスを楽しむ家族連れなどで一杯です。
村全体を封鎖して、お祭りやペタンク大会、マラソン大会などをやっている場合もあります。前にロゼール県南部で、高地の村全体を封鎖してF1レース大会をやっていることもありました。
そうなると、もうクルマでその村には入れません。

春休みは、どこに行っても、人もクルマも少ないし、ホテルもすいていて部屋が取りやすいです。

しかし逆に言うと、
閑散期なので、レストランやホテルやお店などは閉まっているところも増えます。とりわけ都市部以外では(いや都市部でさえも)その傾向があります。
夏だと観光客で賑わうところも、冬は閑散として、夕食を食べるためだけに近くの大きな街までクルマを飛ばさなければならないということもあります。

あとは、夏期には聖堂内部が開いていて中が見れるところも、
冬期は閉まってしまうということもあります。

 
冬期には南仏の平野部でも時には雪が降る(2010年3月)。


 3.回る数と回り方

1日にどれくらいの「ロマ」を回るか?
午前中に1ヶ所、午後から2ヶ所、といったゆっくりした回り方なら、ひとつの「ロマ」にたっぷり時間をかけられるので、濃密な訪問が出来ます。

しかしそんな悠長な回り方をしていたら、とてもではないですが、星の数ほどある「ロマ」をすべて見ることは出来ません。

基本原則は
「片っ端からすべてのロマを」です。

私の場合は、
1日に平均して10ヶ所~15ヶ所のペースで回ります。
午前中に3~4ヶ所、午後から5~6ヶ所、夕方から2~3ヶ所といったところです。
「夕方」といっても、南仏ではたとえ冬でも18時過ぎないと薄暗くなりません。
17時過ぎてからが勝負ですね(笑)。

1日に15ヶ所などと言うと、どうしても「はい次、はい次、はい次」って感じになってしまうのですが、
それほど時間をかけなければならないすんばらしい「ロマ」に当たることも、実際はそんなに多くないので、ちょうどいいくらいです。
すべての「ロマ」が、必ずしもすばらしいものである訳ではありません。
長い道のりをかけてたどり着いた山奥の「ロマ」が、実は「がっかり系」だったということはよくあることです。

ところで、とても重要なのは、1日10~15ヶ所を回る時の、その
「回り方」(巡り方)なのです。
それだけの数を回るためには、どういう順番でどういう風に回るのが、最も効率よく最短の時間で済むか。
きれいな
「一筆書き」が原則です。

これは非常に重要です。

なので、前もって地図とにらめっこして周到に作戦を立てなければなりません。そのために宿泊地の選定にも気を配ります。

平野部はともかく、山地になればなるほど、この「一筆書き」が難しくなります。
また、ある場所から別の場所に移動するための時間がかかります。なので山地では1日に回れる「ロマ」の数が少なくなります。
山地ではこうしたことを覚悟して作戦を考えなければなりません。


 4.レンタカー

そういう訳で、移動は必然的にレンタカーになります。
鉄道やバスで回れるところは限られます。大きめな街しか回れません。
街から離れた田舎には、バス便が1日1往復のみ、なんてことがザラです。いや、バス便があればまだ良い方かも知れません。
したがって「ロマ」巡りの移動手段はクルマ以外には考えられません。

国際免許証を取得し、日本を出る前からネットでレンタカーの予約をしておきます。
レンタカー会社はいくつもあるので、自由に選べばいいでしょう。
私は特にこれといった特別な理由もなく、毎回
「ハーツ」(Hertz)にしています(JALのマイルはたまる)。

車種は、あまり
大きくない方がいいです。コンパクトなエコノミータイプがオススメです。
フランスの街は狭い街路が多い。田舎道や山道も細くて狭い道ばかりです。「ロマ」めぐりをするならなおさらです。
行き違いが難しい田舎道で、大きなクルマは大変です。駐車場も狭かったりします。
しかし一番小さなタイプだと、エンジンの力が弱く、峠道などを登る時には不便です。
なので、下から2番目あたりのコンパクトカーが最適です。例えばオペルのコルサあたりのクラスですね。
  
2015年の夏にピレネーを回った時のレンタカー(手前のフォード)。ペルピニヤン空港のハーツにて。

レンタカーを借りる時には、パスポート、国際免許証、国内免許証、クレジットカードが必要です。
あと、フランスでの滞在アドレス(ホテルの住所など)、携帯電話の番号も聞かれます。

レンタカーをどこで借りてどこで返すかということも、回り方の作戦を立てるうえで大切になります。

また、大きな都市で借りたり返したりするのは、実はなかなか大変です。
特に返す時です。
フランスの都市部は
「一方通行地獄」です。
返すべき営業所になかなかたどり着けない、なんてこともしばしばです。
さらに大きな都市では、返すべきパーキングが、営業所のカウンターからは別の、離れた場所にあることもあります。
これは前もって知っていないと、とても返せないですね。
南仏では例えばモンペリエの鉄道駅の営業所がそうです。南仏ではないですが、ブルゴーニュのディジョンもそうでした。

私は最近は、勝手知ったる街以外は、街の郊外にあるTGV駅とか空港の営業所で返します。
例えばモンペリエで返す時は、以前は駅の近くの営業所に返しましたが、最近はトラムが網の目のように出来て、しかもまだ新線工事中のため
街の中の道路事情がメチャメチャです。モンペリエの街の中にクルマで入るのは恐ろしいので、郊外にあるモンペリエ空港の営業所に返します。
そして空港から市内のホテルまではタクシーです。空港にはガソリンスタンドもあって、大変に便利です(満タン返しなので)。


レンタカーを借りる際には、保険はぜひ
「フルカバー」をお薦めします(ハーツの場合は「スーパーカバー」)。
慣れない外国で、慣れない左ハンドルで、慣れない交通事情で運転です。
何があるか分かりません。ちょっと(あるいはかなり)ぶつけたとか、こすったとかはしょっちゅうです。
でも「フルカバー」なら、そういう場合でも返却時にサインひとつで終わりです(ホントに簡単。ただし自損の場合)。
「フルカバー」の保険は割高ですが、それをケチッてはいけないと思います。



フランスでのクルマの運転は、「一方通行地獄」のある大きな都市部以外は快適です。街を離れると交通量は日本と比べて全然すいています。
国道クラスだと制限速度は90キロとか110キロです。
高速道路は130キロです(雨天は110キロ)。
ただし街や村に入ると制限50キロとかになります。

道路標識も、日本のものよりうんと分かりやすく、目的地にたどり着きやすいものです。
都市部以外は信号が少なく、円形のロータリーも、要領をつかめばスムーズに回れます。
高速道路(autoroute)も快適で、料金は日本よりうんと安いです。
(料金ゲートにはETC専用レーンやトラック専用レーンがあるので注意しましょう)
 
フランスの高速道路。晴天時の最高速度は130キロ。

気をつけなければならないのは、
フランス人の運転です。
彼らはいったんハンドルを握ると、
人格が一変します。まさしく「スピード気違い」(←差別用語でゴメンナサイ)。
フランス人のこの「スピ・キチ」ぶりは、少しフランスをクルマで走ったら、すぐに分かります。


彼ら彼女らは、前を走っているクルマはとりあえず抜く。
まずは抜く、とにかく抜く、必ず抜く
フランス人にとって、自分の前を走っているクルマは、抜くために存在しているようなものです。


こちらが田舎の一般道なんかをちんたら走っていたら、後から来たクルマにあおられるあおられる。
イライラしながら後にビタッとついて、これでもかと言うくらいあおってきます。
そして一瞬のチャンスも逃さず、抜いていきます。若いおネエさんや上品そうなマダムだってどんどん抜いていきます。

後からビタッとつけられてあおられることに慣れるだけの図太い神経が必要です。
そうやってガンガン前のクルマを抜いていくフランス人の「スピキチ」を、さらに抜いていく
「スーパー・スピキチ」までいます。

「ロマ」めぐりとは関係ないですが、そんな「スピキチ」だらけのフランスなのに、高速道路の大型トラックは、走行車線を律儀に守って走っています。
追い越し車線をガンガン飛ばして抜いていく大型トラックの類は非常に少ないです(て言うか、それは禁止されています)。
ところが、日本は違います。例えば東名高速でも、一般車を邪魔者扱いするように追い越し車線を(しかも一番右の車線を)猛スピードで走りつづける大型トラックとか、たくさんいます。
日本の高速道路は、トラックがとても怖いです。


 5.必需品

「ロマ」巡りに必要なものは、ミシュランの地図、それぞれの教会についてのグーグル衛星地図や予備知識が書いてあるデータですが、
もちろん
カメラが必要です。

昔、フィルムカメラの時代には、何十本ものフィルムを持って行かなければなりませんでしたが、今はデジカメの時代なのでそれは必要ありません。
よっぽどプロの写真家とかでない限り、エクタクロームを50本、などという世界では、もうありません。

一眼レフのデジカメにするかどうかは、個人の問題となります。
私の場合は、あまり重たくてデカいカメラは持ち続けられないので、いわゆる「コンパクト・デジタルカメラ」になります。
最近のものは、ものすごく性能とか画質が良くなっていて、「コン・デジ」でも充分です。

今使っているのは、Canon SX700HS

ただし、ロマネスク教会を撮影する場合は、ファサードなどのワイドな全体像から、高いところにある柱頭彫刻のズームまで、幅広くカヴァーするものが必要となります。
今使っているものは、広角は25mmから望遠は750mmのものです。
「コンデジ」だと、上着のポケットにも入ります。というか、
上着のポケットにも隠せるのです。

立派な一眼レフタイプのものもいいのですが、それは同時に、
ドロボーさんの格好のターゲットにもなってしまいます。
日本人観光客で、特に女性の方で、立派な一眼レフを得意そうに首からかけて歩いている人をフランスでも見かけます。
まぁ、
意識高い系だということは外に向けてアピールできるのかも知れませんが、実はあまり賢明なことではありません。
身の危険を自ら呼び込んでいるようなものです。ホントです。


さて、デジカメのメモリー(SDカード)は、少なくとも8GBは必要です。
1ヶ所で何十枚も撮影します。1日にそれが10ヶ所とか15ヶ所とかになると、1日で撮影する写真の枚数も
千枚を軽く超えます(後述)。
2週間くらいの取材旅行では全部で
2~3万枚になってしまいます。
しかも1枚あたりの画素数は、普通1MB近い大きさです。

ノートパソコンも持参する必要があります。
その日に撮影した写真をパソコンで整理してハードディスクに移して保存する必要があります(後述)。

そしてまたそれをバックアップとして、
別のSDカードにも保存しておかなくてはなりません。
2週間とか3週間とか回ると、撮影した写真画像はトータルで
20GBとか30GBとかを越えてしまいます。
したがって、バックアップ用のSDカードは
64GBが必要となります。


パソコンが何かのはずみで壊れたり、データが消えたり、あるいは盗難にあったりした場合は、バックアップを別に取っておかないと、目も当てられないことになります。
毎日毎日ぐるぐる回った「ロマ」めぐりの成果が、一瞬にしてパーになってしまうのです(
一番怖いのは盗難かも知れません)。

バックアップのSDカードは、ノートパソコンのHDDと同時に、それは別の場所にも、肌身離さず持ち歩かなくてはなりません。
簡単にスリなどに盗まれないところ、という意味です。パスポートなどと同じくらい大切なものとして扱わなければなりません。

私の場合、旅行において最も大切なのは、パスポート、クレジットカード、そして撮影した写真を保存したバックアップのSDカード、この3点です。
他のものは、たとえ盗まれたとしても、大したことではありません。
盗まれて困るようなものは、最初から持って行かないことです。


カメラの三脚は、実はあまり必要ありません。
暗い教会の中を撮影する時は、信者席の椅子や、そのへんに置いてある椅子を持ってきて、それにカメラを固定して撮影します。


 6.宿泊(ホテル)

フランスの地方のホテルはあなどれません。
これは良い意味と悪い意味の両方があります。

高級ではないものの、心温まるすばらしい経験を、地方のホテルですることができます。
部屋、レストラン、サービスなどなど。

逆に「あ痛たたた~」みたいなことも同じようにたくさんあります。
きしむベッド、歩くとギシギシ音がなる床、古めかしい内装、ハズれのレストラン。
まるで今から30年前の世界がそのまま続いているかのようなホテル……。
まぁそれもまた旅の醍醐味なのですが。


私は、可能な限り、「アコー」チェーンのホテルを利用します。
イビス(Ibis)、メルキュール(Mercure)、ノボテル(Novotel)など。


これらははっきり言って、
どこも同じです。
部屋の感じはどこに泊まっても、イビスはイビス、メルキュールはメルキュールです。
そういう意味で、
おもしろみは何もありません。

しかし逆に言うと、どこに泊まっても
一定の水準は確保されていて、「大外れ」することもまたありません。
夏は冷房、冬は暖房も、ちゃんと完備です(地方の地元の古いホテルはそれさえあやしい)。

それに、たいていのアコーのホテルには、
レストランが付いています。
これもどこのレストランに行ってもメニューは同じようなものなのですが、1日中「ロマ」めぐりで疲れ果ててホテルに帰ってきて、
それから街のレストランを探しに行かなくてはならない、というようなことがありません。
これは実はとても助かります。

あと、アコーのホテルは、都市部の郊外の、
高速のインターチェンジのそばとかにあることも多く、
これはレンタカーで「ロマ」めぐりをする場合には、とても便利です。
街の中まで出たり入ったりするというのは、実はとても神経を使って疲れます。街の中は
一方通行地獄だし。
街まで入らずともホテルから出発したり帰ったりできるというのは、ものすごく便利なのです。
 
Hotel Ibis Montellimar インターチェンジのそば、レストラン、そして機能的で清潔な部屋


さらにアコーのホテルは、たいてい
大きな駐車場付きです。
街の中のホテルだと、駐車場がなかったり、離れたところにあったりします。
クルマをひと晩駐めるスペースを見つけるだけでひと苦労することもしばしばです。
郊外のアコーのホテルだと、そんな心配はいりません。
実にラクです。

しかも私は
アコーのポイント会員なので、泊まれば泊まるほどポイントがたまり、それで1泊無料になったりします。お得ですね。

アコー以外には、同様の理由から「ベストウエスタン」チェーンとか、それに類するチェーン系のホテルをよく利用します。

アコーのホテルがないエリアでは、Booking.com とかHotels.com などを使って地元のホテルを予約します。
その場合も、なるべく行き方が簡単で、
駐車場とレストラン付きのホテルを探します。

地方では、2月とか3月は閉まっているホテルが少なくないので、部屋を確保するのに、夏よりは少し苦労します。


 7.訪問調査の実際

さて、準備も整い、宿も確保し、パリからTGVで南仏まで向かいます。
レンタカーも借りました。いざ出発です。
地図をみながら目的地に向かいます。


●グーグルアース地図の落とし穴
ここで、注意しなければならないことがあります。
先に、グーグルアースの地図で訪れるべき「ロマ」の場所をチェックしておくと述べましたが、思わぬ落とし穴もあるのです。
それは、グーグルアースの衛星地図に現れる道が、
実際に通れる道ではないことがしばしばあるということなのです。

衛星地図には、確かに「A教会」までの道があります。
しかし、いざ現地に行ってみると、それはクルマはおろか、徒歩でさえ行くのが難しいことが、しばしばあります。
特に、村から離れた山や谷や原野の中の場合がそうです。
てっきりクルマでそこまで行けると思ったのに、こりゃとんでもない! みたいな。
 
両方とも、グーグルアースではクルマでも行けそうな道が表示されているのに……実際はトンデモありませんでした。


さぁ、教会に無事にたどり着いたら、その東西南北からの姿をすべて撮影しましょう。
特に西ファサード、身廊部、後陣、そして軒持ち送り、鐘塔などもまんべんなく撮影しなればなりません。
軒持ち送り彫刻などは、高さが高いところにあるので、ズームをかけて撮影です。

お天気は、撮影の状態を左右します。
一見、快晴の方がいいに決まっていると思われるかも知れませんが、
快晴の場合、午前中は西正面ファサードは、
逆光になります。
さらに午後は、今度は後陣側からの撮影が逆光になります。
これ、
実はかなり重要なことです。
とてもいい彫刻のある西ファサード全体をきれいに撮影したいという場合は、午後に訪れるべきですし、
同様にすばらしい後陣を撮影したいという場合は、午前に訪れるべきです。
そういうことを念頭に置いて、回る順番やルートを考えなければなりません。


なので「ロマ」めぐりでの写真撮影には、よほど絵になる美しい写真を撮りたいという場合を除いて、
快晴よりも
薄曇りや曇りの方が、逆光がなくてむしろ都合が良かったりします。

教会や聖堂の中に入れたら、内部もくまなく撮影です。
後陣、横断アーチを支える柱の柱頭、天井のヴォールト、側室(祭室)など。
特に
柱頭彫刻は大切です。


フラッシュ撮影と連写
聖堂内部でフラッシュ撮影は、しばしば禁止されています。
そうでなくても、高いところにある柱頭彫刻をフラッシュ撮影しても、光がうまく届かないのであまり意味がありません。
聖堂の内部全体の
フラッシュ撮影は、もっと意味がないでしょう。

例えばパリのノートルダム大聖堂で、観光客がフラッシュたいて写真撮ってますが、あれは全然ムダです。
あんな大きな聖堂で、光が奥まで(あるいはステンドグラスまで)届くわけがない。

ロマネスク教会の柱頭彫刻を撮影する時は、
信者席や、そのへんに置いてある椅子を持ってきて、そこにカメラをしっかりと固定して撮影です。
ISO100だと、手ぶれしてしまいます。手ぶれ補正機能があってもダメです。
ISO200とか、ISO400とかで撮影します(ただしISOが高くなると、画質が粗くなっていく)。

しかも、何枚も連写します。
薄暗い聖堂内部の彫刻装飾を撮影する場合、
連写で5~6枚撮影すると、
ようやくそのうち1枚くらいはピントが合ったちゃんとした写真が撮れます。
なので、1日の撮影枚数が、やたらと多くなるわけです。


●説明板・説明ガイド
教会・聖堂の中には、その教会・聖堂の歴史や建築などについての説明板(パネル)が掲示されていたり、
見学者のための説明パンフレットの類がおいてある場合が少なくありません。
自由に持ち帰っても良いものは持ち帰りますが、そうでないものは、その場ですべて撮影してしまいましょう。
地方の村の、名も知れない「ロマ」については、出版されている文献にも記載が全くないものもあります。
その場合は、教会・聖堂に掲示されているものしか情報がないということになります。

教会備え付けの説明パンフは重要な情報源です。


●現地で売っている本やリーフレットについて
比較的大きめのロマネスク教会には、売店があったりしてガイド類や説明本を売っていたりします。
あるいはお金は箱に入れておくように、といってリーフレット類が置いてあったりします。
ISBNが記載されている書籍などは、日本でもインターネットで入手可能な場合が多いですが、ISBNの記載のないものや古いものは現地で買っておかないと後から手に入りません。


●取り残しについて
いろいろな理由で(多くは時間が足りなくて)、その旅行中には回りきれないロマ教会・聖堂は、必ず出てきます。
当然それは、あらためて次の日、あるいは次の機会に回すことになります。

そうやって取り残す場合は、
次の機会になるべく負担にならないような形で残さなければなりません。
例えば、1ヶ所だけ、ポツンと離れた場所の「ロマ」を残すと、次回、その遠く離れた1つの「ロマ」のためだけに、わざわざ再びそこまでクルマを飛ばさなければなりません。
なので、作戦を立てる段階で、なるべくそういう「残し方」をしないような回り方を考えなければなりません。
残す場合は、宿泊拠点となりうる場所や高速道路などからポツンと離れていないところを、しかもいくつかまとめて残すようにします。
最初に作戦を立てて回る時に、まず先に離れたところ、へんぴなところ、山奥などを片付けてしまうようにしましょう。
そうすると
後がラクです。


 8.食事

朝はホテルで普通に食べます。
夜もホテルの(またはホテルの近くの)レストランで食べます。

問題は昼食です。

私は、ホテルの朝食の際に、その日の昼食にするパンや果物などを余分に(こっそりと)もらっておきます。
あるいは通りかかったスーパーとかガソリンスタンドとかで売っている簡単なサンドイッチ(あんまり美味しくない)などを買います。
そして
クルマの中で食べます。

ケチくさいと思われるかもしれませんが、
お昼をレストランなどでちゃんと食べないのにはいくつか理由があります。

●まず何よりも、1日10ヶ所とか15ヶ所とか回るためには、
お昼をちゃんと食べている時間がないのです。
普通にレストランでお昼を食べると、1時間とか2時間とか、平気でかかります。
そんな時間的な余裕はありません。
その時間があれば、「ロマ」を1ヶ所か2ヶ所、回れます。

●「ロマ」めぐりをする地方の田舎の村々には、
そもそもレストランなんてないことが少なくありません。
パン屋やバーもありません。

●フランスで1日3食しっかり食べ続けると、
確実に体重が増えます。
お昼をクルマの中で簡単にすませると、太らなくて済みます。
その分、安心して夕飯をガッツリ食べ、ガッツリ飲めるのです。

●そして単純に、
お金の節約になります。


 9.教会・聖堂の内部

教会・聖堂・礼拝堂は、必ず中に入って見学できるとは限りません。
田舎の教会に行けば行くほど、中に入れないことが多くなる傾向にあります。
「見学希望者は、村役場で鍵を借りること」とか「見学希望者は、次の番号に電話すること」などという貼り紙がしてあることもしばしばです。
近くのレストランやバー、近所の住民に鍵を借りるようになっていることもあります。
事前に村役場や教会の所有者にアポを取って見学というケースもあります。

しかし最も多いのは、問答無用で閉まっていて、どこの誰に頼めば開けてくれるのか、さっぱり分からないというものです。
そういう時は、もう諦めるしかありません。

たまにあるのは、たまたま事前に申し込んだ人が見学しているところに行き当たって一緒に入れてもらったり、
教会の修復作業などをやっていて、工事の人に頼んで中に入れた、みたいなケースです。
時には工事中にこっそり入ってしまうということも。

夏期は開いているけど、冬期は閉まっているというところも珍しくありません。

 10.私有地・私有教会

ロマネスク巡りをしていて、しばしば出くわすのがこの「私有」の問題です。
Privée」とか「Propriété Privée」とか「Defense d'Entrer」とか「Entrée Interdite」とかの表示が出ています。
これらにはいろいろなパターンがあります。

 1.教会が私有地の中に建っている場合
 2.教会自体が私有の建物で中に入れない場合
 3.教会が住居や倉庫に改造されている場合

このうち2と3は、少なくとも外観を撮影することは出来ます。

前に、ヴォークリューズ県で、完全に民家になっているロマネスク教会を外から撮影していたら、
中からいきなりマダム(しかも着飾った)が出てきて「おまえはなぜ人の家の写真をそんなにバシバシ撮っているのか?」と聞かれた(クレームをつけられた)ことがあります。
「いや、私はこれこれこういう者で、中世建築を研究しているのですが、あなたのお宅は、中世のキリスト教聖堂で、とても価値があるのです。」
と説明したら、「ああそうなの、どうぞいっぱい撮ってちょうだい」と言われました。


内部に関しては、見ることはなかなか困難です。それでも所有者が「いいよ、いいよ、中に入って見て行きな」みたいに言ってくれるところもあれば、
中を見せてもらえないかと頼んでも、頑として「ダメだ」と断られる場合があります。

1のように、教会が私有地の敷地の奥の方にあったりすると、最初からもうお手上げです。
この場合は、たいてい頼んでもダメだと言われることが多いです。

ただし、冬などのシーズンオフ期には、所有者もそもそもそこにいないことが少なくなく、
ひとけもなくて、誰もいないので敷地内に簡単に入ってしまえることもあります。
しかしこれは、厳密に言えば「不法侵入」なので注意しましょう。


 11.トイレ

トイレは、非常に重要かつ、やっかいな問題です。しばしば深刻な問題となります。
いつでもどこでもトイレに困らない日本ではあまり出会うことのない深刻さを経験することになります。

都市部では、トイレに行きたくなったら、最終的にはカフェやバーに入れば解決します。
しかしロマネスク巡りでまわる田舎の村は、レストランはおろか、カフェやバーなどまったくないところばかりです。

フランス人は、なんであんなにトイレに関して無関心・無頓着・不親切なのでしょう?
他の場所からやって来るかも知れない観光客や旅行者のことなど、どうでもいいのでしょうか?
怒りが沸いてくるほど不親切です。
とにかく、トイレがありません。

訪問者・見学者が比較的多いであろうと思われる教会や聖堂がある村でさえ、トイレがありません。
そうした訪問者たちのために教会を開け、中をきれいにし、パンフレットをそろえてウエルカム体制を取っているところでさえ、トイレがありません。
その教会・聖堂の周辺にもありません。

日本には
「コンビニ」というすばらしい文明があります。そこにはきれいなトイレがあります。そして何でも買える。
フランスには、パリなどの大都市部を除いて、いわゆる「コンビニ」なるものがありません。
特に地方や田舎にはまったくありません。
不便きわまりないです。
(日本のコンビニとよく似た存在が、ガソリンスタンドの売店かも知れません。でもそうした売店付きのガソリンスタンドがそもそも少ない。
ガソリンスタンドを見つけても、クレジットカード式の無人スタンドだったなんてことはザラです)


さて、もしもあなたが男性であれば、トイレの問題はほとんど考えなくてもいいでしょう。田舎であれば、そこらじゅうすべてがトイレです(笑)。
小はおろか大だって可能です。林や森や山や木陰や草むらで処理できます。小だったら、交通量の多い道路でも平気でフランス人の男たちは用を足しています。

問題は女性の場合です。
フランス人女性は知りませんが、少なくとも日本人女性は「そのあたりの林の中とか物陰とかで」なんて普通は不可能です。
私は夏期は、家内と回ります。
トイレ探しがとにかく大変です。目当ての村に着いたら、
教会よりもまずトイレを探します。

お陰で、トイレ探しの嗅覚は発達しました。「ああ、この村にはトイレはないな」とか「ああ、なんとなくこの辺にトイレがあるな」とか。
どこかの村を通過する時には、たとえその村にはロマネスク教会がなくても、トイレを探しながら通過するのがクセになってしまいました(笑)。

ピレネーの山奥でやっと見つけた「トイレ小屋」


とにかくトイレに関しては、
「行ける時に行っとけ」が鉄則です。
トイレを見かけたら、そんなに行きたくなくても、とりあえず行っときます。

村役場(mairie)にはトイレがありますが、いつも開いているとは限りません。
開いていても使わせてくれないこともあります。観光客なのに!

とうとうどうにもならなくなったら、いよいよ「森」や「林」や「物陰」の登場です。
最近は、東急ハンズやホームセンターで売っている、
災害時の携帯用トイレ(あるいは高速道路渋滞用携帯トイレ)を事前にいくつも買って持って行くようになりました。
ポンチョとかも付いていて、クルマの中でも使えます。
これがあるだけで、たとえそれを実際に使わなくても、気持ちの上で安心です。


時々、とてもトイレなんかありそうにない村で、信じられないくらいきれいで立派な公衆トイレに出会うことがあります(なんと備え付けのトイレットペーパーまで付いていたりします)。
それだけで感動モノです。そしてそういうトイレは長く記憶に残ります。
その村のことは、建っていた教会の写真を見ても思い出せなくても、
「ああ、あのきれいなトイレがあったあの村か!」てな感じで思い出すことができたりします。

「きれいなトイレ」には、フランスではなかなか出会えません。
ある程度きれいなトイレを常に期待できるのは、ホテルか高速道路のサービスエリアのトイレくらいでしょうか。
「あ痛たたたたぁ~」なんてトイレは珍しくありません。
「便座」がないトイレなんてしょっちゅうです。
扉を閉めると中は真っ暗(電気がない)こともしばしばです。
個室で鍵が閉まらないものもあります。
紙なんかないのが普通です。

とにもかくにも、フランスを旅すると、
日本のトイレのありがたさをあらためて身にしみて思い知らされるのです。


12.トラブル・事故・盗難 



この項目は、別に1章立てることにしました。省察「フランス旅行中のトラブル、事故、盗難について」をご覧下さい。

 13.一日の終わり


さあ、1日10ヶ所とか15ヶ所とかのロマネスクめぐりが終わってホテルに帰ってきました。

かなり疲れています。クタクタです。

バーやレストランで、ビールやワインを飲んで、今日一日のロマ・ハンターの「収穫」の豊かさを思い起こして味わって下さい。
「ここは大変だったな~、あそこはヨカッタな~」みたいに。

さてしかし、それですっかり酔っ払って寝てしまってはいけません。そんなことをしたら、あとから大変なことになります。
とにかく今日一日、どこに行ってどの「ロマ」を見たのか、という
記録をきちんとつけておかなければなりません。


そして
写真の整理が必要です。

カメラのメモリーから持参したノートパソコンのハードディスクに移します。
写真には、
年月日と場所の名前を付けて保存です。
私は例えば次のように名前を付けます。

2015-03-24-0458/Ales/St-Germain

「2015-03-24」は日付、
「0458」というのは、その日に撮影した写真の通し番号です。
「Ales」はコミューンの名前、「St-Germain」は教会の名前です。

このようでなくても、とにかく訪問した日時と場所が分かるようにすれば、あとは自分なりの名前の付け方でいいと思います。
1日に1000枚とか越える場合もありますが、
デジカメ写真を管理するソフトがいろいろあるので、
その中の「名前の一括管理」とか「名前の一括編集変更」とかといった機能を使うと、1枚1枚名前を付けていく必要はありません。
何十枚単位で通し番号で名前の編集が出来ます。

とにかく、1日に10ヶ所とか15ヶ所とかの単位で
写真が爆発的に増えていくのです。
2日で30ヶ所、3日で45ヶ所、4日で60ヶ所です。
すぐに、いったいそれがどこの何という教会だったのか、分からなくなってしまいます。
旅行から帰ってから日本でゆっくりやろうなんて思っていたら大変です。
いろんな場所がごちゃごちゃになってしまい、収拾がつかなくなります。
「えーと、この教会どこだったっけ? こっちの村だっけ? いやあるいはそっちの村だったっけ? えー、分かんなくなっちゃった~!」みたいに。

どんなに疲れていても、この写真の整理だけは、その日一日の終わりにはやってしまわなければなりません。
それが無理なら、翌日の朝ですね。

最後に、整理し終えた大量のデジカメ写真を、持参したバックアップ用のメモリー(SDカードなど)にコピーします。
これも必須の作業になります。ノートパソコンが壊れたり盗まれたりしたら、一巻の終わりです。
バックアップは必ず別に保管します。

14.その後の整理 

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撮影したデジカメ写真画像は、帰国後は、しかるべき媒体に保存します。
私はポータブル・ハードディスク(1.0TB)に保存します。もちろんバックアップ用に、そのHDDを複数用意します。
1回の渡仏で1.5万~2万枚の画像、約30GB~50GBのサイズになるので、
1.0TBくらいのHDDが必要になります。

ここから先は、私個人の事情になりますが、
訪問調査した「ロマ」について、あらためて文献や資料に基づいて整理し、
一つ一つについてその歴史、建築、装飾などなどについて原稿にまとめて行きます。
1回の渡仏で100~200ヶ所を訪問調査するわけなので、次々にその作業を進めていかないと、
あっという間に次の渡仏になってしまいます。

事後に調べていると、「ああしまった、この教会はこの部分も見るべきだったんだ!」みたいなことが必ず出てきます。
可能であれば、次回の渡仏の際に、再度そこを訪れて、見逃したところや撮影し逃したところをカヴァーします。
あんまり遠いところにポツンと離れている教会の場合は、ちょっともう諦めるしかないかも知れません。



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